ここ数日の暗号資産と株価の急落は、マクロ経済と暗号資産固有の要因の組み合わせに起因すると考えられるが、現時点では前者がより支配的な原因のようだ。
マクロ経済の観点から見ると、先週はウォール街が非常に不安定だった。景気後退への懸念が高まり、主要株価指数と株式市場の先物は週末に急落した。こうした懸念は、金曜日に発表された米雇用統計で、経済成長の程度に対する懸念が高まったことで悪化した。さらに、地政学的な緊張が続いていることも、市場の不確実性と不安定性を煽った。
特に暗号資産の場合、景気後退懸念に端を発した広範な市場の売り越しにより、高リスク資産から資金が再配分された。この傾向は、資産クラスとしての暗号資産に不利に働くと考える市場関係者もいる米大統領選の最近の動きによってさらに強まった。最後に、暗号市場では、歴史的に夏場はパフォーマンスが鈍化し、他の月よりもリターンが低くなっている。このような季節的要因もこの時期に作用する可能性がある。
こうした課題にもかかわらず、暗号資産市場の長期的なマイナストレンドを示すものではないと考える。米連邦準備制度理事会(FRB)は9月に利下げに踏み切る見通しで、米国経済の見通しが改善するはずだ。さらに、大統領選挙がまだしばらく先であるため、市場のボラティリティが高まる可能性は依然として高い。選挙が近づくにつれ、候補者が暗号資産に対するスタンスを明確にするため、市場が双方向に影響を受ける可能性がある。