日本円の対ドル相場が急落したため、日本の当局が外国為替市場に介入した。米ドル/円が1990年以来初めて心理的に重要な160円の大台を超えたため、当局は円相場を安定させるために介入を行った。
米ドル/円: (出典: TradingView)
日本銀行の課題
日本銀行(BOJ)は、円防衛の取り組みにおいて困難なジレンマに直面している。日銀は1兆2,000億ドルを超える米国債を保有しており、市場に直接介入することも可能だ。しかし、そのような介入は、日本が米国債を大量に保有しているため、米国債の利回りを急上昇させるリスクがある。
財務省証券の主な外国人保有者:(出典:ticdata.treasury.gov)
日銀のもうひとつの選択肢は利上げだが、日銀は利上げをためらっている。日銀は2016年以来マイナス金利を維持し、最近ではわずか0.1%に引き上げたにもかかわらず、4月26日に開催された最近の会合で追加利上げを見送った。日銀の慎重な姿勢は、国際通貨基金(IMF)によれば、日本の債務残高対GDP比が260%を超えるという驚異的な水準にあることから、さらに拍車をかけている。
日本の金利:(出典:トレーディング・エコノミクス)
不遇な立場と世界への影響
日本銀行は、円を支えることと巨額の債務を管理することの狭間で、困難な立場に立たされている。進行中の円安は、ユーロやポンドなど他の主要通貨にも影響を及ぼす可能性があり、より広範な影響を及ぼす可能性がある。さらに、米連邦準備制度理事会(FRB)が最小限の利下げスタンスを維持すれば、世界市場は長期的に金利上昇を維持する圧力に直面する可能性がある。
日本円の対米ドル相場が急落したことで、日本当局による介入が行われ、日本銀行が通貨の安定と債務管理のバランスを取る上で直面している課題が浮き彫りになった。円安の波紋は日本国内にとどまらず、世界の為替動向や金利動向に影響を与える可能性がある。