MiCA：欧州の新しい暗号コイン規制が業界にもたらすもの

著者：Alys Key、翻訳：shawna zhou、The SeeDAO

01 MICAとは

背景：Markets in Crypto Assets（MiCA）は、暗号資産市場を規制・監督するための規制枠組みに関する欧州連合（EU）の提案である。MiCAは2020年9月、EUのデジタル金融戦略の一環として欧州委員会の提案でデビューしました。MiCAは、デジタル資産市場の安定的で透明かつ合法的な機能を確保するため、欧州内で調和のとれた規制の枠組みを構築することを目指しています。 

MiCA規制の主なポイントは以下の通りです：

1.登録と規制：MiCAは、暗号資産サービス提供者（crypto-asset service providers）が欧州の市場規制当局によって登録され、規制されることを求めています。これには、暗号取引所、デジタル資産ウォレットプロバイダー、一部のイニシャルトークンプロバイダーなどの規制が含まれます。

2.透明性：規制は、詳細なホワイトペーパーや情報開示の義務付けなど、デジタル資産市場の透明性向上を求めています。

3.投資家の保護：MiCAは投資家の権利の保護に配慮しており、マネーロンダリング防止（AML）やKYC（Know Your Customer）の要件、投資家のリスク警告などを定めています。

4. 市場の秩序: 規制は、市場操作や詐欺の取り締まりを含め、デジタル資産市場の秩序を確保しようとしています。

2年半以上にわたる議論と調整を経て、EUはこの画期的な暗号通貨規制を可決しそうだ。

新しい一連の規制は、4月17日の週に採決される見込みです。

暗号資産市場（MiCA）は、デジタル金融のフロンティアのいくつかの分野でEUのブロックチェーンアプローチを更新するためにEUで計画されている大規模なプログラムの一部です。MiCA自体は、暗号資産プロバイダーと彼らが果たすべき報告義務に焦点を当てている。

しかし最も重要なのは、27の加盟国のアプローチを調和させることです。

しかし、今月の採決は物語の終わりにはほど遠い。

しかし、これは欧州の暗号空間だけでなく、世界的にも大きなマイルストーンとなる。

他国を拠点とする企業も、EUの顧客にサービスを提供したい場合は影響を受けることになり、マイリード・マクギネス財務委員は、米国の担当者とアイデアを共有する可能性について熱く語った。

「これは非常に政治的なことです」と、European Crypto Initiativeの共同設立者でエグゼクティブ・ディレクターのMarina Markezic氏は語った。同団体はMiCAの提案を受けて結成された業界団体である。「ブリュッセルは自分たちが非常に優れた基準を設定していると考えており、理想的にはその基準が他の司法管轄区に展開されることになる。

02 ヨーロッパが「暗号資産サービスプロバイダー」の規制を開始

MiCAは、「暗号資産サービスプロバイダー」（CASP）として知られる広範な業種に関連する企業に適用される一連の規制を策定した。"（暗号資産サービスプロバイダー（CASP））。

これには、取引プラットフォームの運営や資産のカストディの提供から、新しい資産の宣伝や暗号コンサルティングの提供まで、幅広い活動を行う企業が含まれます。

MiCAによると、暗号資産の一般公開を希望する組織は、関連情報を開示するホワイトペーパーを作成する必要があります。これには、発行者や取引への導入を希望する事業体に関する情報、調達した資本が何に使われるのか、資産に関連する権利や義務は何か、その基礎となる技術は何か、などが含まれます。

また、投資が直面する可能性のあるリスクについても率直に説明する必要があります。

このホワイトペーパーを作成するCASPが資産の発行者である場合もあれば、資産を顧客に提供する取引プラットフォームである場合もあります。

暗号空間の多くはホワイトペーパーの概念に馴染みがないわけではありませんが、英国の法律事務所Shoosmithsの企業M&A弁護士であるSam Tyfield氏は、EUの規制はより厳格で標準化されたアプローチを強制するだろうと述べています。

MiCA規制を名目上遵守するためにホワイトペーパーの草案を修正・拡張したTyfield氏の経験に基づき、同氏は「そのために必要な情報やデータの量は、現在のホワイトペーパーの常識を大きく超えており、暗号資産やトークンの潜在的な発行者のほとんどにとって大きな課題となる」と述べています。

同氏はDecryptに対し、「これは、より信頼性の低い暗号資産発行者の一部がプロジェクトを撤回することにつながる可能性があるため、悪いことではない」と述べた。

フランスのマーケットメーカーFlowdeskの法務コンプライアンス責任者であるAnne-Sophie Cissey氏も同意しています。

伝統的な金融のバックグラウンドを持つ彼女は、これは株式の発行に適用される厳しい基準と同等だと考えています。私は、人々がどのように資金を調達し、ただ『よし、これは有望だ。MiCAがあれば、私たちはその情報を得ることができます」。

しかし、彼女が見たくないのは、次第に大きくなってきたパターナリズムだ。「しかし、私が心配しているのはMiCAそのものではなく、MiCAの使い方、あるいは彼らが米国で行っていることなのです。 シシーは、"我々は大人であり、決断することができる "と言った。

03 MICAによるステーブルコインとNFTの規制

MiCA規制のもう一つの重要な要素は、ステーブルコインに関する規制の強化です。この提案では、発行者はトークンの裏付けとなる資産の準備を維持することが求められます。これらの資産は自社の資産から分離され、低リスクの方法で投資されなければならない。EU議員はまた、大規模なステーブルコイン発行者が、より高い資本要件など、より厳しい規制を受け入れる余地も残している。

ただし、これらの規制は中央銀行のデジタル通貨（CBDC）には影響しない。観測筋は以前から、MiCA規制の起源は、非政府通貨がこの地域に進出することへの懸念に端を発した、フェイスブックの現在は閉鎖されたDiem（正式名称はLibra）プロジェクトへの対応だと指摘してきた。

規制が提案された直後、ハンブルク大学法律経済研究所のウォルフ＝ゲオルク・リンゲ所長は記事の中で、「行間を読むと、この提案は通貨主権を民間主体に奪われることへの懸念を示している。デジタルユーロ案を発表したことは偶然ではない。

MiCA規制の注目すべき例外は、NFTである。

ホワイトペーパーを作成するという要件は、"デジタルアートや収集品を含む、ユニークでかけがえのない資産 "には適用されないと明示されている。

しかし、文書の中でさらに明確化されたことは、「大規模なシリーズやコレクションとして発行された資産」がカジブルとみなされる可能性を提起しています。専門家はすでに、Bored Apes Yacht Club (BAYC)やCryptoPunksのような大規模なプログラムに影響する可能性を示唆しています。

これは、ESMAのガイダンスが明らかにするかもしれない問題の1つです。

デジタル金融には、MiCA規制から除外されている他の側面もありますが、将来のバージョンや他の規制で考慮されることを望む声もあります。

「MiCAの草案が起草されて以来、多くの技術が登場しましたが、中でもプレッジング（ステーキング）は顕著です」と、暗号取引所LunoのEMEA担当公共政策責任者であるニック・テイラー（Nick Taylor）氏はコメントし、次のように付け加えています。MiCAの将来のバージョンでは、DeFi、NFT、レンディングも考慮されるかもしれません。" と付け加えています。

規制の限界は、欧州の多くの上級機関によって指摘されている。先週、ECBの諮問委員会のメンバーは、規制に関する最近の進展は十分ではなかったと述べた。

ECBの監督委員会のメンバーであるエリザベス・マッコール氏はブログ投稿の中で、バイナンスや現在閉鎖されているFTXのような企業は、現在の形では「重要な」企業とは見なされない可能性があり、EUにおけるプレゼンスの大きさだけでなく、企業の運営全体を考慮する必要があると述べています。EUにおけるプレゼンスの大きさだけでなく、企業の事業全体を考慮する必要がある。

04 コンプライアンスに「圧倒される」

MiCAが最初に提案されて以来、EU暗号イニシアチブは、新興企業が新たな規制の負担にどう対処するかを特に懸念してきました。

Markezic 氏は、「義務を果たすための資金力や人材がないかもしれない。私たちは、これらの企業のいくつかが、本質的にそれに圧倒されるのを見るかもしれません。"

FlowdeskのCissey氏は、MiCAへの準備は「90％終わっている」と述べた。しかし彼女は、市場に新規参入する企業は、立ち上げたばかりの頃は他を選ぶかもしれないと疑っている。「もし私が新しいプロジェクトを始めたいなら、BVIやケイマン諸島、バハマで行うことを選ぶでしょう」と彼女は語った。

法律事務所アンダーソンで暗号とデジタル資産技術のディレクターを務めるディオン・シーモア氏は、この「規制上の選択」はすでに起こっている可能性があると述べた。彼は、「特に中小企業は、他の中小企業と同様に、規制が非常に難しい場合が多く、規制弁護士と協力する必要があり、それは安くはない」と述べた。

しかし、新しい規制に対応できる企業であれば、調和の取れたアプローチによってチャンスが広がるというポジティブな面もある。

ある国で認可されれば、EU市場全体を通過することができる。

Markezic氏は、「MiCAの最も優れた点は、EU市場全体へのアクセスの機会です。現在、すべての加盟国において、状況は非常に異なっています。ある国には規制があり、ある国には規制がない。大企業にとっては、調和された欧州のプログラムは、より多くのものを提供することができます」。

ポーランドの暗号取引所ZondaのCEOであるPrzemyslaw Kral氏も、同様に楽観的な見方を示した。「MiCAは間違いなく一部の小規模な暗号スタートアップに難題を突きつけるだろうが、全体的な効果はプラスになると期待している」と同氏は述べた。

クラル氏は、「MiCAによって提供される規制の明確性と確実性は、機関投資家や大企業にとって魅力的であり、欧州の暗号市場における投資と成長機会の増加につながる」と述べた。